ライフサイエンス領域
㈱バイオベルデの事業を承継し、緑茶由来ポリフェノール及びカルボキシル化ポリリジンを基盤技術とした、移植用の細胞、生体組織及び臓器の保存技術の開発とそれら技術を応用した研究用試薬を販売しています。
カルボキシル化ポリリジン『不凍ポリアミノ酸』技術
当社の基盤技術の一つであるカルボキシル化ポリリジン『不凍ポリアミノ酸』は、2009年に京都大学再生医科学研究所の玄 丞烋博士らのグループにより、世界で初めて、DMSOに代わる安全かつ生存効率の高い高分子系凍結保護材として創製されました。
医療用接着材LYDEXの開発過程において、ポリアミンであるε-ポリ-L-リジン(食品添加物)にカルボキシル基を導入した両性電解質高分子「CPLL」を合成し、ある範囲のアミノ基とカルボキシル基の割合を持つ両性高分子化合物に非常に効果の高い凍結保護効果を発見したことが、研究の始まりです。
CPLLは、細胞や組織に対して安全性に優れており、タンパク質を添加せずに、高効率で凍結保存できる新たなCPAとして、これまでに種々の細胞の凍結保護効果を示してきました。この細胞凍結保護作用はカルボキシル基の導入量、pH、浸透圧などによって制御することが可能であり、既存のCPAであるDMSOやグリセリンとほぼ同等の機能があります。
化学合成品の持つ安全性と、iPS細胞や分化誘導した細胞、組織を効率的に保存できる特長を併せ持つ『不凍ポリアミノ酸』は、これからの再生医療分野での臨床応用に貢献する、多くの可能性を持った画期的な材料です。
緑茶由来ポリフェノール技術
2003年10月に、国立大学法人京都大学再生医科学研究所(当時)の研究グループが科学技術振興機構により採択された独創的シーズ展開事業大学発ベンチャー創出推進(研究開発課題:生体組織の常温長期保存液の創製」)を通じて、緑茶由来ポリフェノール(EGCG:エピガロカテキンガレート)が持つ優れた特性を明らかにしました。
【緑茶由来ポリフェノールの特性】
● 動物細胞の増殖抑制効果
● 造血幹細胞の長期間増殖停止後の赤血球等への正常な分化特性の効果
● ヒト間葉系幹細胞の常温保存効果
● 生体組織の未凍結状態での長期間保存効果(4℃、期間2ヵ月)
● 従来の細胞培養液や保存液への緑茶由来ポリフェノールの添加による、
未凍結状態での生体組織の保存効果(細胞活性を維持したまま数か月保存可能)
● 細胞や組織へのポリフェノール処理による免疫抑制効果の可能性の確認
常温ないし未凍結状態での細胞、組織および臓器の長期保存効果を持つEGCGは、移植用生体組織の保存や免疫抑制剤用途などで医療分野に貢献する、多様に優れた生理活性を持つ天然物です。
当社では、『緑茶由来ポリフェノール(EGCG)』を添加した製品(研究用試薬)として、 『ThelioKeep(皮膚および神経組織用冷蔵保存液)』の販売を行っております。